輝く女性たち

内田輝美さん / 湯江タクシー有限会社 代表取締役

内田さん(1枚目)

“社長って言うと聞こえはいいけど、現実は、何でもならなきゃいけない雑用係。”
 タクシー会社の社長なんですが、私がやらないのはタクシーの運転だけ。二種免許を取得しようと思いつつ、いまだに行きそこなって。だからタクシーには乗れないけど、あとは何でもやります!
 電話受付に配車、もちろん財務の事から営業まで、何でもね。時には早朝点呼や夜勤も!
 2人目の子どもを妊娠した時には、出産前日まで夜勤。中小零細企業の社長は、会社という組織のトップでもあり、社員さんと同じ実動部隊の1人でもあります。今は、諫早市タクシー協会会長、全国子育てタクシー協会の顧問と言う、業界内の役職もさせて頂いているので、各関係機関と調整をしたり会議に出席したりと、さらに忙しい日々。社長、会長とは名ばかりで、実際は何でも引き受けちゃう雑用係です。

 

 

“私だからできる仕事。そこに気付いた時に、ようやく一歩を踏み出す事ができました。”

 私が社長に就任したのは昭和が終わる頃、20歳の時。当時は、まだまだ男性中心のタクシー業界。会議と言えば、数字とデータが中心の男性目線の業界的話し合い。数字やデータだけで物事を決めていく感覚に、正直戸惑いました。女性目線で気付いた事、やりたい事を提案しても、軽く受け流されるだけ。業界全体の売り上げも、あまり落ち込んでいなかった時代なので、新しい取り組みをする事の方が煩わしかったのかもしれませんね。

 光や出口を見つけられない自分の仕事に鬱屈としていた時に出会ったのが「子育てタクシー」の事業でした。2人の母親(女性)目線、プロの移送を担うタクシー事業者の目線、それを融合できるのは、2つの立場を持つ私の役目だと思いました。

 子育てタクシー事業を先行していた香川県に1人で視察に行き、その後、諫早市タクシー協会に視察報告書と企画書を提案。

 「子どもの送迎?本当に必要なの?」と言う、子育てが既に終わった世代の男性経営者に、今どきの子育て事情を話し、説得し、ようやく子育てタクシードライバー養成講座までたどり着いたのが平成18年。タクシー業界に身を置いた事は、選択ミスではなかったか?と何度も自問自答した私が、子育てタクシー事業を推し進めることで、自分の役割に気づき、使命感と誇りを持って仕事に臨めるようになった節目の年でもありました。

 

 

内田さん(2枚目)

“自分が何をやれるかを模索することが大切。仕事をするとは、その道のプロになる事です。”

 プロとしてやっていくには、知識を深める必要があり、そのためには時間が必要です。仕事が自分に合う、合わないではなく、その時々に置かれた立場で自分が何をやれるかを模索することが大切だと思っています。この業界に入った26年前、私は何もできず、同業者との会食でも、ただ下を向いて食事をする事が精一杯でした。ですが、沢山の出逢いがあり、周りの方に支えられ、この仕事を継続することが出来たことで、自分の役割に気付き、1歩先へ進む事ができたのだと思っています。

 

 

内田さん(3枚目)  “遊びや日常の中で、仕事のヒントを探せる大人になりたい。”

 仕事人間だと思われがちですが、そうではありません。ボーっとするのが大好きだし、家族で過ごす時間が何より大好き。2人の子育ては、強制的に仕事に時間が割かれる事もあり、母性が悲鳴をあげそうになるくらい苦労した事もあります。でもそれも過ぎてしまえばいい思い出。

 最近は、間もなく訪れるであろう更年期に備えてヨガを始めたり、料理を楽しんだり…。

 仕事以外の事を楽しむ心の余裕ができてきました。仕事のアイデアにつながるヒントは、仕事以外の日常に隠れている。そんなふうに思ったら、大いなる冒険心がムクムクと自分を遊びに引きつけてくれます。10年後は、今以上に、遊びを大切にできる大人でありたいですね。そして仕事に対しては、常に利用者目線で居続けること、現場の第一線で頑張ってくれているタクシードライバーに、仕事に誇りを持ってもらうことを経営者として心がけ、お客様にも社員にも、満足してもらえるような会社にしていきたいと思っています。

 

 

ライフ年表

 20歳 湯江タクシー有限会社 代表取締役就任
 28歳 結婚
 29歳 出産
 38歳 子育てタクシー事業と出会う
 40歳 全国子育てタクシー協会会長就任(現在は顧問)
 47歳 地域活性化のための「諫早もりあげガールズ」結成

  • 現在の仕事(活動)を始めるきっかけ又はやりがい
  • 父の死後、母が社長を務めていたのですが、その母も急逝。大学3年生の時に家業であるタクシー会社を引き継ぐことになりました。当時、マスコミ業界に憧れ、東京の芸術系の大学に行っていたのですが、両親が遺した会社を手放すという選択が私にはできませんでした。

  • 仕事(活動)と家庭の両立で工夫していること
  • 「頑張る日」と「手抜きをする日」を決めています。疲れている時には、自分の気持ちに素直に従い手抜きを実行(笑)。ただ、家の中があまりにも散らかっていると、逆にイライラするので、そんな時はちょっと頑張って家事をやっています。子どもが小さい時は、昼間一緒にいられない分、夜は子どもと一緒にいることを優先していました。夫に頼る、子どもに頼るが、今はモットーです。

  • プライベート(休日)の過ごし方
  • あんまり大したことしてないです…。

  • 座右の銘(好きな言葉)
  • 【いま ここを 真剣に生きる】

     「死」と向き合う機会を得たことで、「いま」の大切さが身に沁みました。自分の思い描いた未来を引き寄せるためにも、今を真剣によりよく生きることを怠らないように、この言葉を時々心の中で唱えています。

  • これからしたいこと(今後の目標)
  •  2015年に子宮体がんになり、手術、抗がん剤治療を経て生還しました。当たり前ですが、命には限りがあるのだと改めて感じる事ができました。つないで頂いた命ですから、自分の経験を活かし、今後は、もっともっと誰かのお役に立ちたいと思っています。と同時に、遊ばなきゃ!とも思っています。

  • 後輩女性へのメッセージ
  • 過去を後悔したり、まだ見ぬ未来に不安を抱くより、今、この時を懸命に生きると、自ずと道は開けてくると思います。多様な生き方があるこの時代だからこそ、臆せず自由な発想でチャレンジして下さい。楽しいことばかり起こる人生はつまらない。苦があるからこその楽。そんな風に考え方を転換していくと、1歩前に進む事ができますよ。