輝く女性たち

大嶋真由子さん / NCC長崎文化放送

“アナウンサーへのあこがれ”

 私は1975年、長崎市に生まれ地元の小中学校を卒業後、県立長崎西高に入学しました。入学式の日、まだどの部活に入るか迷っている私に友人が「放送部に入ろう」と誘ってくれました。それが今の職業まで繋がることになろうとは、当時の私は思う由もありませんでした。

 高校の放送部では校内放送を担当するほか、年に2回のコンクールに向けアナウンスや朗読の練習をしたりラジオや映像の番組を作る活動がありました。高校2年の秋、長崎市で開かれた九州大会に出場しアナウンス部門で2位に入賞することができました。学校のハナミズキの木に隠されたエピソードを自分で原稿にして、どうやったらうまく伝えられるか試行錯誤し、一生懸命、読みの練習をして掴んだ賞。そのとき、取材することの面白さ、原稿を書くことの難しさ、伝えることの素晴らしさを知ったような気がします。

 「アナウンサーになりたい。そしてふるさとの皆さんに自分の声でニュースを伝えたい。」と強く思いました。しかしアナウンサーになるためにはどうしたらいいのか、当時の私はあまり情報を持ち合わせていませんでした。

大嶋真由子さん1

 もう1つ、高校生の私を悩ませていたのは両親の離婚です。専業主婦だった母は離婚をきっかけに働きに出るようになりました。しかし女性が一度家庭に入った後、再就職することの難しさを母の姿を通して知ることになります。資格や技がなければ女性が子どもを自分だけの経済力で養っていくのはたいへんなことです。経済的な理由で県外の大学への進学を諦めた私は長崎大学の教育学部に進みました。そしてアナウンサーになりたいという夢を持ちつつも、教員を目指して勉強していました。

 

 

“試行錯誤の就職活動の末、念願のアナウンサーへ”

 大学3年になっていよいよ就職のことを真剣に考えなければならなくなったとき、私はどうしてもアナウンサーになる夢を諦めきれない自分に気付き母に相談しました。すると母は「1年間は夢に向けてまい進しなさい。それで駄目だったときには、次の年、別の分野の会社も受けてみたら。」と言ってくれました。

 後から聞くと母は、アナウンサーは狭き門だからどうせなれないだろうと思っていたそうです。しかし私はその母の言葉を聞いて、自分は就職浪人は許されないだろうから、何としても1年目にアナウンサーになろうと決心しました。そして全国各地の放送局の就職試験に挑みました。周りには放送局を受ける人は誰もおらず試行錯誤の連続でした。今ほどインターネットも普及していなかったため、採用情報を集めるだけでも一苦労でした。そして長崎の放送局で一番初めに内定をもらったNCCに入社することを決めました。 

 

 

大嶋さん2枚目 

“両立に悩むことはあっても仕事でしか得られない喜びがある”

 NCC に入社してからは18年間はアナウンサーや記者など報道を担当。その後、編成や広報を担当する部署に異動しました。途中、会社の同僚と結婚し、2回の産休・育休も取りました。不規則な仕事で、子どもが病気のときなどは仕事と子育ての両立はもう無理かもしれないと思うこともありました。しかし、一度も仕事を辞めようと思ったことはありません。

 それは、高校時代に夢見ていた職業に就けた喜びの気持ちをいまだに持ち続けていること、そして私たちを育てるために職業を渡り歩いて苦労した母の姿を見ていたからだと思います。仕事は好きなことばかりやっていればいいものではありません。ときに投げ出したいくらい大変なこともありますが、何かを成し遂げたときの喜びは、やはり仕事以外では得られないことではないでしょうか。

 女性が働き続けるには周りの人の協力無しには成り立ちません。周りの人に迷惑ばかりかけているのではないかと自分がいやになってしまうこともあります。しかし、いつか私のこのような経験を、仕事と子育ての両立に悩んでいる人たちや、家庭の問題で進学や就職を諦めかけている人たちのために役立てること。それが今の私の夢です。

ライフ年表

 22歳 念願叶ってアナウンサーに採用される
 27歳 長女出産 仕事と家庭の両立を始める
 31歳 制作したドキュメンタリーが賞を受賞。ディレクターとしての覚悟が芽生える
 33歳 長男出産 ワーク・ライフ・バランスを考えるきっかけに
 38歳 ニュースデスク就任 後進育成が自分の中の課題に
 40歳 報道制作の現場を離れ編成業務局に異動

  • 現在の仕事(活動)を始めるきっかけ又はやりがい
  • 高校時代、放送部に所属し、将来はテレビ局に勤めたいと思ったから。

  • 仕事(活動)と家庭の両立で工夫していること
  • 前日のうちに子どもたちの翌日の夕食を作る。
    子どもたちが病気になると仕事を休まなければならないので、何よりも体調管理、特に食事に気を付けている。また近所のママ友や先輩ママたちとも連携し、お互い助け合って子育てをしている。

  • プライベート(休日)の過ごし方
  • 子どもたちと近所の公園などで遊ぶ。
    1週間分の保存食作り。
    大型連休などは旅行などに出かけたりもする。

  • 座右の銘(好きな言葉)
  • 【為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬ
     は人の為さぬなりけり】

    やってみないうちにあきらめたくないから。

  • これからしたいこと(今後の目標)
  • マスコミの世界はまだまだ女性の登用が進んでいないと感じます。職場では後輩たちが結婚しても子どもを産んでも生き生きと働けるよう、道を切り開いていきたいです。
    退職したら、こども食堂みたいなものを開いて、そこで絵本の読み聞かせをしたり、地域になにか恩返しがしたいです。

  • 後輩女性へのメッセージ
  • 働くことは大変なことも多いし、好きなことだけやっていればいいわけでもありませんが、それでも、自分で収入を得て社会とかかわっていられるのは楽しいことです。仕事を辞めたくなっても、いったん立ち止まり、自分らしい働き方を考え直してください。きっと突破口はあるはずです。