輝く女性たち

今村マキさん / サンエスファーム

“しいたけ屋の娘として生まれて”
 しいたけ屋の娘として生まれ育ち、38年になります。昭和48年に父が原木椎茸の栽培をはじめたのは、母の流産がきっかけでした。当時、実家の事情で東京から帰ってきた両親は、家業のみかん栽培を手伝い、その際の消毒作業によって母は流産。
 父はこの時の辛い経験から、「身体に安心・安全なものを作り届けたい」と一念発起、農薬や消毒、殺虫剤を一切使用しないしいたけの栽培に行きついたそうです。
 原木を育て、伐採することから母と二人、二人三脚でのスタートでした。山仕事から毎日のように汗だくで帰ってくる両親を見て、大変な仕事だな~と幼心にも思っていたことを覚えています。 

 幼少期は、家族経営でしたので、しいたけのコマ打ちや、パック詰め等、出来る作業を兄と一緒に手伝い、両親に教えてもらいながら、見よう見まねでやっていました。そこには家族の会話や笑いが沢山あり、今となっては、とても楽しい家族の想い出です。 

図1 
みなんめキッチンスタッフ “様々な経験を通して”
 幼い頃から絵を描くことが好きで、高校時代は美術部に所属し、3年間で3枚の油絵を描きました。1年間を通して一つの作品を作り上げるという作業から、根気や集中力、最後まで諦めない事の大切さを学びました。
 商業高校に通い、簿記や電卓など商業の科目が好きだったこともあり、大学の商学部に進学。そして、憧れの先生との出会いがきっかけで商業高校の教員を目指しました。しかし、採用試験には不合格。臨時教員や、非常勤講師、パソコン教室のインストラクターや専門学校の講師を経て、29歳で結婚、専業主婦になりました。
 専業主婦になってから2年目、主人の転勤で東京へ引っ越し。主婦業をしながら、習い事やパート、パン作り等々、興味を持ったことに取り組んでいました。

 そんな折に父からサンエスファームを立ち上げる構想を聞き、その話に共感した主人が手伝いたいと言ってくれました。不安もありましたが、私自身もいつかは両親の力になりたいと思っていたので、長崎へ戻り、就農することを決断しました。 

“厳しい現実を経て”
 長崎へ帰ってからの生活は、東京の暮らしから一変しました。経理・広報・人事・総務、生産管理等々、やらなければならない仕事が山積みで、深夜まで残業の毎日。そして何より経営の仕事をすることは、私には荷が重すぎました。特に1年目は余裕がなく、理想と現実のギャップに苦しんで、泣いてばかりいました。
 この反省から、とにかく足りないところを補う勉強を始めました。自己啓発をしていくことで、自分の役割を理解し、少しずつ目標が明確になってきました。また、業務をやり遂げていくことで、やりがいを感じ、仕事をすることが楽しくなってきました。そんな苦しいときも、隣でずっと私を支えてきてくれた主人の存在はとても大きかったと思います。

 結婚8年目に子供を授かりました。妊娠・出産を通して少し仕事から離れたことは、これまでの仕事に明け暮れた自分を冷静に見つめ直すことができたとても貴重な時間となりました。また、主人、両親はじめ周りの方々が色々とサポートしてくれるお陰で、仕事にも復帰でき、出産、育児を通して周りの方への感謝の気持ちは一層強くなりました。
 娘は現在、11ヶ月になります。ニコニコと機嫌よく過ごしてくれることが多く助かっています。同じように、母親である私が機嫌よく笑顔でいることが娘にとっても嬉しいと思いますので、常日頃から、心がけています。
 そうはいっても、生活していると、心が刺々しくなってくる時も多々あります。そんな時は、「人間は同時に二つのことを考えられない」という言葉を思い出し、嫌なことを考えてくよくよ思い悩むのではなく、何事も前向きに過ごすようにしています。

今村さん(3枚目) 

“経験、出会い、教えすべてが今に活きている”
 改めて振り返って感じることは、何事も一所懸命取り組んだことが人のためになり、自分のためにもなってきたということです。好きだった絵も、商業で学んだ簿記や電卓、PCも、飲食関係のアルバイトも教員時代の経験も、うまくいったことも、失敗したことも、すべてが現在の自分を支えてくれています。
 これまでの様々な経験が活きていること、そして、そこで出会えた人たちに教えていただいたことが自分の財産になっていることを実感する毎日です。これからは、両親がそうしてくれたように、仕事を精一杯頑張る姿を娘に見せていきたいと思っています。そして父の想いを受け継いで、お客様に安心安全で、喜んでいただける商品とサービスをお届けできるよう、より一層精進していきたいです。 

(更新 平成28年3月)

ライフ年表

 32歳 東京で専業主婦をしていた時、父からサンエスファームを設立する話を聞く。
     脱サラした主人と共に南島原へ帰る。
 33歳 サンエスファーム理事に就任。自分の能力不足、認識の甘さを痛感する日々。
 36歳 工場隣に加工直売施設「みなんめキッチン」設立。
 37歳 妊娠、出産。仕事に明け暮れた日々を振り返るきっかけに。『食』について改めて考え直す。
 38歳 仕事復帰。キッチンを通してより多くのお客様と触れ合う内に、もっと喜んで頂けるようなサービス、商品を提供したい想いが強くなる。

  • 現在の仕事(活動)を始めるきっかけ又はやりがい
  • 仕事のやりがいは、人の役に立つこと、お客様に喜んで頂けること。
    若手の育成。己の成長。

  • 仕事(活動)と家庭の両立で工夫していること
  • 自分一人で抱え込み過ぎないように、家族やスタッフに助けてもらっています。
    家庭でも主人に相談し、出来る家事をやってもらったり、話を聞いてもらいフォローしてもらっています。

  • プライベート(休日)の過ごし方
  • 休日は、リラックスし、ストレスを解消するため、主に一人の時間を大切にしています。
    読書が好きなので、本を読んだり、お笑いやドラマを観たり…
    たまには、友人とお茶したり。
    マッサージをしたり、ひたすら寝て疲れを取っています。
    娘と一緒に、近所の美しいパン屋さんへ歩いて出かけることもあります。

  • 座右の銘(好きな言葉)
  • 【こどもにとって一番大事なのは、こどもにとって嬉しいお母さんになること】

    NHKのすくすく子育てという番組で先生がおっしゃっていた言葉です。
    いい親にならなきゃとか、思い通りにいかなくてイライラしてしまうことも正直多かったのですが、この言葉を聞いて、心のモヤがとれました。心の中にいつもあって、子どもと接しています。

  • これからしたいこと(今後の目標)
  • ・店舗の充実
     「みなんめキッチン」のメニューや商品、装飾等をブラッシュアップして、お客様にワクワクして頂ける店舗にしていきたいです。
    ・自分磨き
     能力を高め、より人の役に立てるようにやりたいです。

  • 後輩女性へのメッセージ
  • 仕事をしていて、この人素敵だな、一緒に仕事がしたいなと思う人は、周りへの気遣いが出来る人です。そして、そういう人は、仕事ができる!
    仕事に就いて最初に出来ることは、多くないかもしれませんが、気持ちの良い挨拶と笑顔を心がけること、相手への心配りをすることが大事だと思います。
    そして、素直さ。きっとこれらが出来ている人は周りの人から好かれるし、どんどん成長していくと思います。是非、素敵な女性になって下さい。