輝く女性たち

松田充佐子さん / 有限会社竹野商事竹野鮮魚 取締役

松田充佐子さん

 

 

 竹野鮮魚の創業は1965年。

 私の祖母、「鈴木タケノばあちゃん」がリヤカーから始めた鮮魚店です。

  商売人の家で育ち、小さい頃からお店の手伝いばかりだったので、ずっと普通の主婦に憧れていました。

 27歳で結婚して、二人の子供にも恵まれ専業主婦になった私ですが、突然の父の死によって鮮魚店の跡を継ぐ事になったのは10年前でした。

 大変な事というものは、なぜか一気にやってくるもので、母は要介護認定を受け、子供達は受験を控え、お店の職人さんや納入先の事、残された借金。主人はサラリーマンを続けた状態で、一人っ子の私が跡を継ぐしかなかったのです。

 いつまでも、環境や周囲のせいにしては前に進めません。

 《やるからには、楽しんでやる!》《自分で決めたからには誰のせいにもしない!》と腹を括りました。

 右も左もわからないまま、自分でできる事を探して、まずはHPを作りSNSを駆使して販促活動を行う事から始めました。すると一生懸命さが伝わったのか、どんどん人脈が広がっていき助けてくれる人達が現れてきました。

 『魚屋の鯖の燻製』が長崎県新作展最優秀賞という素晴らしい賞をいただけたのも、その頃でした。人との出会いや再会からできた商品。何もわからなかったので、怖いもの知らずで突っ走っていけた事が逆に良かったのかもしれません。

  

 専業主婦時代に培った“普通の主婦目線”から、自分が食べたい物はどんな物なのか、どんなサービスを欲しているかがわかるので、そこを強みとしてどんどん新しい事にチャレンジしていきました。

 刺身ひとつにしても、パックしたまま時間をおいているものよりも、その場で切ってもらう方が美味しいし、高齢者や小さなお子様が食べる魚は丁寧に一本ずつ骨抜きをしてもらえると嬉しい。

 まな板が汚れないように調理してもらえると、ゴミの日にもたすかります。すべてそれをサービスとして、小さなことからお客様に寄り添っていきました。

 お店の賄い飯で食べていた魚料理も、こんなに美味しいものなら、皆さんに食べていただきたいとの想いで、4年前には『魚屋のまかない飯ランチ』を始めました。
 「ココの刺身が夢に出たの。」と、近所の大病院から退院の足でそのまま立ち寄ってくださったり、「県外の友達を連れてきたかった」と言っていただけたり、「本当に美味しい!」と喜んでいただけるとますます嬉しくなり、お客様にどうやって喜んでいただけるかばかりを考えるようになりました。

 そして、驚きの笑顔を見たいとの想いから『海鮮ケーキ』などのアイデアも浮かんできたのです。

竹野鮮魚のロゴ

竹野鮮魚

 父が存命の時には、音楽もなく静かなお店でしたが、
 賑やか好きな私は、音楽を流したり店内を写真などで飾り付けたり、パワースポットとして口コミになった大漁旗を貼ったり・・・と、空気を変える事にも気を使いました。

 今、ランチを求めてクチコミで遠くからもご来店いただけて、笑顔や笑い声がこだまする店内は活気に溢れて嬉しい限りです。
 他にも、地域のイベントにも参加させてもらったり、テレビやラジオに出演させてもらったり・・と。鮮魚店を継がなければ、経験できなかったことばかりでした。嫌々ながらやっていたのでは、こんな経験はできなかったかもしれません。

 時には人知れず悔し涙を流す事もありましたが、笑顔でさえいれば少しずつだけど、笑顔になれる出来事が近づいてきます。笑顔でいれば笑顔の人々を引き寄せます。

 「美味しい=幸せ」でもあると思っているので、ずっとこれから先も美味しさと笑顔を伝え続けていきたいです。

 昨年からは、夫がサラリーマンを退職後、代表取締役となり少し肩の荷がおりました。

 今でもまだまだ手探り状態ですが、10年の経験は無駄なものではなかったと思います。知らず知らずのうちに、SNS利用のマーケティングなども力になってきました。

 今後はこの経験も生かして、地域貢献や次世代の育成なども密かに考えています。

 常識にとらわれず、時代の流れに遅れないように心掛けていけたのは、本来もっている好奇心旺盛なところでした。

 これからいくつになっても、この好奇心を失わないように“珍しもん好き”な自分でいたいと思っています。

 そして、何よりも一番は自分ひとりではないと言うこと。必ずピッタリのタイミングでピッタリの出会いがあります。人に裏切られて涙することもあるけれど、それを癒してくれるのもまた・・人。

 人こそ宝です。これから先もきっと楽しいアイデアが浮かんで、いろんな人を巻き込んでワクワクできる鮮魚店に進化していくつもりで前に進んでいこうと思います。  

(更新 平成30年4月)

ライフ年表

28歳 結婚・子育て
44歳 父が亡くなり跡を継ぐ事に・・
46歳 「魚屋の鯖の燻製」で第43回長崎県新作展最優秀賞を受賞
50歳 「魚屋の賄い飯ランチ」始動
53歳 「海鮮ケーキ」開発
54歳 「魚屋de昼からちょい呑み」始動

  • 現在の仕事(活動)を始めるきっかけ又はやりがい
  • 魚離れの昨今、自宅で魚料理を食べないお客様のため、魚料理が苦手な主婦の方のために何かできないかと常に考えています。
    その中で、自分たちが賄い飯で食べている料理があまりにも美味しくて、これを皆さんに食べていただきたいとの想いから『魚屋のまかない飯ランチ』を始める事にしたのです。
    自信をもって販売できる鮮魚に、お客様が「本当に美味しかった」と喜んで帰って行かれる姿を見るのが、毎日のやりがいでもあります。
    今では、県外や海外からまで目指してご来店くださるのがとても嬉しいです。

  • 仕事(活動)と家庭の両立で工夫していること
  • 家事を翌日に持ち越すと溜まってしまうのが嫌なので、洗濯などは夜にしてしまいます。
    多少、手抜きでも目を瞑ることは大切です。
    家族に思い切って甘えてしまう。
    外食やコインランドリーなども時々利用して、いかに自分の家事を楽にするか常に考えています。

  • プライベート(休日)の過ごし方
  • 娘と温泉巡り。
    食べ歩き。

  • 座右の銘(好きな言葉)
  • 「楽しいことをするよりも、やってる事を楽しもう」

    実は、自分にいつも言い聞かせてる自分なりの言葉なんです。
    旅行やパーティーなど、イベント(非日常)の楽しい事は、それが終われば普段の日常です。
    それよりも、その普段の日常(仕事や家事)をいかに楽しむか、どんな環境にあったとしても、日頃の失敗や涙をいかに、笑いに変える事ができるか、によって毎日の生活、そして人生の質が変わっていくのだと思っています。

  • これからしたいこと(今後の目標)
  • サプライズや笑顔が大好きなので、職種や常識にとらわれず、やってみたい事にどんどんチャレンジしていきたいです。
    「魚屋なのに?」「魚屋だからこそ!」を強みに、みんなの驚く顔や笑顔を増やしていくと同時に、地域貢献も視野にいれ、こんなに美味しくて新鮮な“長崎の魚”を広めていきたいです。
    そして、どこにもないようなワクワクするおもちゃ箱のようなお店を目指します。

  • 後輩女性へのメッセージ
  • 『きつい時の対処法』
    肩に力が入りすぎると、気づかないうちに周りの人まできつくさせてしまったり、自分もいっぱいいっぱいになります。
    どうしてもどうしても、きつい時には“頑張る!”ではなくて“踏ん張る!”
    ポキッと折れてしまわないように、柳のようにユラユラ揺れながら・・・
    それでも、根っこだけはしっかりと踏ん張っていてください。
    力を抜いて、深呼吸して、口角を3ミリだけアップして、周りの人に甘えたっていいんです。
    アイデアも人脈も、ゆるゆるの時に笑いながら降りてきますよ。