輝く女性たち

前田尚美さん / 山口屋染物店 染職人、島原てぬぐいブランドてんげ堂 企画

<老舗染物店の新たな挑戦>

 長崎県島原市で明治43年創業の老舗染物店を実家に持ち、その染職人として、また2014年2月より、「てぬぐいブランドてんげ堂」を立ち上げ、企画営業として、働いています。

 これまでの山口屋染物店が行ってきたオーダーメイドの仕事だけでなく、自分たちの企画でイチからブランドを作って、新しいことにチャレンジしてみようということでスタートしました。

 ブランド立ち上げは初めてのことで、店のみんなと手探り状態でなんとかやってきましたが、今年の2月10日で有難いことに5年目を迎えます。

 ブランドを立ち上げてしばらくして、応援してくれている方から、島原市が認定するShimabara Special Quality(通称SQ)の認定にチャレンジしてみないかと話を頂きました。パッケージやコンセプトなどを工夫して、SQ認定では工芸品で初の認定を頂いてから、様々な催事に出させて頂けるようになりました。積極的に参加しお客様と交流することで良いご縁をたくさん頂きました。お客様をはじめ、商品を置いてくださるお店、応援してくださる方々のおかげで、ここまで来れました。

 また、FacebookなどのSNSを活用したことで、田舎にいながらにして、様々な年代、地域の方々に情報を発信・交流ができ、多くの方に知って頂けるようになったことも大きなプラスになっています 。

山口屋染物店外観

イベントへの出店

  <敷居の高いお店から気軽に立ち寄れるお店へ>

 てんげ堂のてぬぐいは、カラフルな柄の中から自分のお気に入りを選んで頂く楽しみもあります。

 また、自社で企画、制作、販売を行っているので、そのメリットを生かして、てんげ堂のてぬぐいに名前入れをして、自分だけのオリジナルてぬぐいにできるというサービスを始めました。

 てぬぐいをそのまま購入をして頂くことももちろんできますが、名入れ加工をすることで、お客様の自由な発想で十人十色のオリジナルのてぬぐいが出来ます。赤ちゃんの名前を入れて、ひなや端午の節句のお祝いに、還暦などの年祝いに、結婚祝いに柄一緒で色違いのてぬぐいにそれぞれのお名前を入れて2枚組でなど。

 これまでは何を売っているお店か分かりにくく、敷居が高いイメージで入りにくかったお店に、気軽にお客様が立ち寄ってくださるようになりました。

 

 ご来店くださったお客様には、Facebook、ガイドブックなど、どのようにお店を知って頂いたかお伺いしたりするのですが、「てんげ堂のてぬぐいを買う」ことを、島原への旅の目的の1つにしてくださったお客様がいらして、それがとても嬉しかったです。

 また、最近では以前に頼んで頂いた方が、名入れをしたてぬぐいが好評だったからとまたご注文に来てくださることも増えてきていて、ありがたいことです。

<ドキドキ、ワクワクを大切に>

 どんな仕事もきつくない、辛くないことはありません。どうせする苦労なら自分が楽しい、ドキドキワクワク気持ちが動くことを大切にしようと思っています。

 これからは、自分が楽しい、面白いと思うことしかしない!と決めたのが30歳の誕生日。きっかけは29歳の時に1ヶ月の自宅安静をすることになった病気がきっかけです。

 20代と比べると思い通りにならなくなってきた身体とこれからの時間のことを考えたら、本当にしたいことをしようと思いました。療養期間はきつかったけれど、自分を見つめ直す良い時間だったと今は思えます。

 でもあの時に戻りたいかと言われたら、正直戻りたくないですね(笑)

 周りの方々から支えてもらっているということをしっかりと実感したのも、この療養期間でした。

 私1人が頑張れば・・・そう思って、もっとてんげ堂をいろんな人に知ってもらいたいという思いだけで1人で必死だった時期がありました。1人で突っ走っていて周りが見えていませんでした。

 ですが、周りの協力なくしては成り立たないことに、しんどくなってやっと気づきました。自分がやりたいこと、伝えたいことが大きくなる程、チームワークがとても大切。

 それからは思っているだけでは、伝わらないので、意識的に周囲へ感謝の言葉を伝えるように心がけています。

 まだまだ周りから頂いている協力に対しては感謝の言葉や気持ちが足りないかもしれませんが。これからも支えてくれる方々への感謝の気持ちを忘れずにいたいです。

(更新 平成30年2月)

 

島原名物かんざらしとかんざらし柄のてぬぐい

ライフ年表

22歳 大阪の委託給食の会社で営業職
25歳 退職。島原へUターン、父と叔父に師事し染職人としてのキャリアをスタート
30歳 山口屋染物店のてぬぐいブランド「島原てぬぐいてんげ堂」を立ち上げる
34歳 てんげ堂企画営業担当をしながら、染物店の5代目承継に向けて現在、奮闘中

  • 現在の仕事(活動)を始めるきっかけ又はやりがい
  • オーダーメイドのお仕事のみで営業していたころ、古い店構えに惹かれてご来店くださるお客様に買っていっていただけるお土産がない!→じゃあ作ろう!と思ったことがきっかけです。
    何を作ろうと考えた時に、趣味で旅先などで心惹かれるてぬぐいを集めていたこと、剣道を習っていた時にもっと可愛いてぬぐいがあったらいいのにと思っていたことを思い出し、どうせ作るなら、きちんとブランドとして、自分が欲しいと思えるような、思わず手にしたくなるようなものを作ろうと、柔らかくて安心の素材と昔ながらの職人技を活かしたてぬぐいを作り始めました。
    売れるためには、良いデザインが必要と思っていたところ、地元出身のデザイナー、大阪出身島原在住のイラストレーター、2人の女性クリエイターとの運命的な出会いがありました。
    お二人にはとてもお世話になっています。悩みに悩んだデザインから、これは!と思う商品が出来上がった時、そしてそれがお客様に好評頂いた時には、とてもやりがいを感じます。

  • プライベート(休日)の過ごし方
  • リラックスしている時が一番アイディアが湧いてくるので、ぼーーっとする時間を大切にしています。
    少し時間ができたら、雲仙、小浜、島原、それぞれとてもいいお湯がありますので、温泉につかりに行ったり、美味しいものが大好き、お酒を飲むのも好きなので、わいわい楽しく飲み会をしたりというのが、リラックスにもアイディア出しにもなっています。
    しっかり休める時には、のんびり美術館巡りをするのも好きです。

  • 座右の銘(好きな言葉)
  • 「死ぬこと以外はかすり傷」

    テレビでこの言葉を聞いてすごくいいなと思ってからは、ずっと私を支えてくれている言葉です。
    すっごく辛い時も恥ずかしかった時もこの言葉で乗り切りました。ま、いっか命までは取られてないしね、って。
    失敗したって死ななければ、OK。失敗を恐れず、いろんなことに、チャレンジあるのみです。動かず後悔するくらいなら、動いて後悔する方が断然いいなって思います。
    チャンスの女神様は前髪3本しかないって聞いたことがあります、で後ろ髪はツルツル。前髪をしっかり掴まないと!